養親と里親は役割が異なる
養親という言葉はこのサイトを訪れて初めて見た方も、里親という言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。
似ているような気もするこの2つの言葉ですが、養子縁組制度(特別養子縁組と普通養子縁組)の養子の親が養親、里親制度の里子の親が里親と使い分けられています。
今回はこの2つの制度について説明するために、表にまとめてみました。
改めて比較すると養子縁組制度と里親制度には大きな違いがありますね。
私自身は養親になることを検討するまで、この辺りの違いをよく分かっていませんでしたので、是非皆さんにも知っていただきたいところです。
では、例によって私見を挟みつつ解説していきます。
目的
制度が違うだけに、養子縁組制度と里親制度の目的には大きな違いがあります。
私見ですが、里親制度は児童養護施設の保護措置を家庭的に行うための制度です。
児童養護施設と異なる点は、一家族のなかに入って、より家庭的な環境で過ごすという点です。
一方で、養子縁組制度は法的に親子関係を成立させるための制度です。
親子の呼び方
里親制度では親子の呼び方が里親、里子です。
養子縁組制度の養親、養子と分かりやすく異なりますね。
と、取り上げてはみましたが、当事者同士でこの単語を使うことはおそらくほとんどないので、気にならないというのが私の意見です。
親子の関係
養子縁組制度と里親制度の大きく異なる部分ですが、養子縁組は法的な親子関係になるのに対し、里親制度は法的な親子関係になりません。
目的の項でも書きましたが、里親制度は保護措置を家庭的に行うというのが目的ですので、親子関係を前提としたものではありません。
親権
親子の関係で書いた通り、養子縁組制度では法的な親子関係が成立するので、親権は養親に移ります。
一方で、里親制度は親子関係が成立しないので親権は実親に残ります。
この制度の悩ましいところになりますが、親権が移らないがために、里子に対する保護措置が困難になることもあるそうです。
戸籍上の記載
ここまでに親子関係について何度も書きましたので、戸籍上の記載については予想がつくかもしれませんね。
養子縁組制度では戸籍に子についての記載があるのに対し、里親制度では記載がありません。
子の養育期間
これは2つの制度の大きな違いの一つです。
養子縁組制度は子の養育期間を特に設けていませんが、里親制度は児童養護施設の措置期間と同じく、原則18歳になるまでとされています。
つまり、一般的には高校を卒業する年齢で里親の元を出なければなりません。
里子になっていた事情によっては、実親の元に帰られる場合もありますが、そのまま一人暮らしを余儀なくされることも多いようです。
とは言え、里親としても巣立った子たちが心配なので、その後も何らかの交流することが多いようです。
関係の解消
養子縁組のうち、普通養子縁組については離縁があり得ます。
離縁とは法的に作られた養子縁組関係を解消することを指します。
特別養子縁組においては離縁がないため、解消もできません。
一方、里親制度については、里子が実親の元に戻る、または子が18歳に達して巣立つことで、解消となります。
国からの補助金
これも養子縁組制度と里親制度の大きな違いです。
養子縁組制度は自分の子として育てますので、国からの補助金は0円です。(子ども手当は出ます)
対して、里親制度は委託を受けて他人の子を養育することになりますので、補助金が出ます。
里親制度には資格のようなものがあり、通常以上の配慮が求められる子の養育ができる資格を専門里親、通常の養育範囲と見なされる資格を養育里親と言います。
それぞれ、国から13.7万円/月、8.6万円/月の補助金が出ます。
この金額は2人目以降、もう少し低くなります。
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