親族に説得されて特別養子縁組を諦める夫婦もいる
最初に所属したNPO団体では、登録前に必ず自分達の両親に対して、特別養子縁組で子供を迎えるつもりであることを説明するようにと指導をいただきました。
面接で「夫婦でしっかり考えた上で決めました!」と言っていても、いざマッチングになると「実は親族に反対されて…」という理由で反故になるケースが一定数あったからだそうです。
(そして、事前に説明するように指導をしていても、そのようなケースは稀にまだあるとか)
そういうことは確かにありそうだなぁと思いつつ、私も確実に親族に反対されるので他人事ではないと考え、そもそも何で親族が特別養子縁組を止めようとするのか想像を膨らませたことがあります。
なぜ親族が特別養子縁組に反対するのか?
始めに誤解のないように強調したいのですが、特別養子縁組を途中で断念する理由の一つとして、親族の反対という理由をよく聞くだけで、希望者全体の中で反対を受けて断念する方々がどのくらいの割合いるのかは知りません。
あくまで断念理由の中での割合として多く感じるだけです。
したがって、ほとんどの希望者が親族に反対されている、と言っている訳ではありません。
(もしかしたらそうなのかもしれないけど…)
私の場合は、確実に私の母から反対が「ある」と予想していましたので、事前に自分の考えの整理をしておきたくて、反対される理由を考えてみたのです。
私が思いついた親族が反対しる理由は大別すると3つでした。
- 何とか実子ができるまで頑張って欲しい(純粋な応援、血脈を絶やしたくない、など)
- 世間体(親族同士含む)が気になる(世間話の的になる、養子がいじめられる、など)
- 養子縁組のことがよく分からない(分からないから反対)
何とか実子ができるまで頑張って欲しい
私が考えた中で一番理解しやすい反対理由はこれです。
理解はできるのですが、もし私がこう言われた時のことを想像すると、その反応は「不妊治療を頑張ってきた2人が実子ではなく養子を貰おうと決断したのだから、変な期待をかけるのはヤメてくれ」でした。
特に医学的に実子を授かることが難しいと分かった夫婦に対しては、それが例え純粋な応援であっても重荷でしかありません。
また、8割方の養親希望者はアラフォー以上です。(我が家は37歳で若い方でした)
「あともう少し頑張ってみれば実子と縁があるかも」の「あともう少し」の期間で、出産する母子の命のリスクもグングン高まってしまいます。
何歳までが実子にチャレンジできる年齢、というのは夫婦次第でしょうが、私としては不妊治療で辛そうにしている妻をそれ以上見たくなかったですし、妻の命のリスクが高まるようなことはしたくなかったので、延長はありえませんでした。
あと血脈などを理由にされた場合ですが、出来ないものは出来ないのだからしょうがないとしか…。
別の記事でも書きましたが私はあまり血の繋がりを重要視してませんし、「家」の継承が目的ならば昔から普通養子縁組が行われてきた訳ですし。
特に我が家のように何の所縁もない家系であれば、別段気にすることもないと考えています。
世間体(親族同士含む)が気になる
私が考えた中で一番しょーもない反対理由がこれです。
しょーもないと思いつつ、地方の方では隣近所の噂話のネタにされるというのが現実的に起こりそうですので、気になるし気持ち悪いことは理解できます。
でもそれって何か実害があるんでしょうか?
実子を授からなかったから、とかそういう理由は話さなくて良いんです。
「特別養子縁組の制度で幸せになる小さな命があったので、あの夫婦はその手段をとった」と胸を張っていれば良いんじゃないでしょうか?
もしそれが難しければ、養親希望夫婦がその親族と離れて暮らし、ほとぼりが冷めるまで(?)互いに近づかないという約束をすれば良いのではないでしょうか。
ぶっちゃけ私は自分たちの世間体を気にして特別養子縁組に反対する親族がいたら付き合いたくありません。
そして、養子がいじめられるのではないかという心配からの反対。
これも気持ちはありがたいのですが、特別養子縁組ではなく乳児院や児童養護施設に行ったとしても、実親のもとで暮らせていないという状況には変わりませんから、気にする必要ないです。
養子縁組のことがよく分からない
私が考えた中で最も「養親希望者頑張れ!」な反対理由がこれです。
極端な例えを出すと、「コーラを飲みすぎると骨が溶ける」や「電子レンジで猫を温めてしまった」という都市伝説と一緒です。
初めて触れるものに対して、ヒトは警戒心を抱いてしまうものですから、とりあえず立ち止まろうとしちゃうんですよね。
それまで時間をかけて調べてきた養親希望者と違って、その親族は知識が浅いので、これはしっかりと説明してあげてください。
ちょっと話は逸れますが、特別養子縁組って悪者扱いされることがあるんですよね。
全国に拠点を持つほどの、大規模なとある医療法人でさえも、無条件に「特別養子縁組の斡旋団体は敷地にいれない」なんて酷いことを言ってくるそうです。
確かに2018年の法改正までは変な団体もいたので警戒する気持ちは分かりますが、無条件にいれないでは、まともな団体が理解してもらうための話もできないですよね。
我が家はどうしたのか
我が家の場合、双方の親兄弟に伝えればOKと夫婦で約束しました。
それぞれの実家は遠く離れていますし、親兄弟以外の親族に会う機会なんて、年に1回あるかないかなので気にしなくて良いと考えました。
そして、妻の方の親兄弟は100%賛成してくれるだろうと見込み、妻が自ら話をして、やはり賛成してくれました。
私の方はすでに父が他界していたので、母と兄への説明だったのですが、兄は何も口出しせず、母は100%反対してくるだろうと見込んでいたら、案の定そうなりました。
ここからは赤裸々です。私のリアルを知っている方は生温かく見守ってくださいw
正直なところ、私は母との相性がめちゃくちゃ悪くて、人生の岐路(高校受験、大学受験、就職先、転職、結婚、などなど)での私の判断を応援してくれたことは一度もありません。
母は恐ろしく不安症であることに加えて、リアルよりもスピリチュアルな方を大事にする考えなので、楽観かつ現実主義な私と正反対なのです。
その結果、「親としてまずは(自分と正反対の意見を持つ)子にダメ出ししなければならない」というのが正義になっているようで…。
経験的に、どのように説明しても母が理解を示すことはないと分かっていますので、自分で生計を立てられるようになってからは、毅然とした態度で「自分(達)の人生のことだから」と、とりあえず反対してみた系の意見は切り捨てるようにしています。
私は電話で夫婦の決断を伝えました。
詳細を書くと読者の方が引くような内容でしたが、やり取りの要点を絞るとこんな感じでした。
- 夫婦だけの問題じゃない → 具体的な問題は何?という問いには答えなし
- 他の親族に何と説明するのか → 隠し立てすることなく説明する
- 何か言われたらどうするのか → 養子が恥ずかしいなら気持ちが落ち着くまで会わなければいい、普段から滅多に会わないのだから
というように、やり取りの一部は事前に考えていた想定どおりの問答でした。
こんな感じですから、母と私の間ではその場で「合意」のようなものが行われることはなく、実はその後も行われていません。
ですが、長女をお迎えに行く時に声をかけたら、喜び勇んで駆けつけてきました。
人ってゲンキンなもんですw
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